インバウンド道#006どう値付けするか

インバウンド道

何かサービスを提供する際に、値付け(プライシング)って物凄い重要だと思うんです。
人から相談を受ける中で、改めて考えさせられました。

自分の考えの整理という観点も含め、自分たちの値付けを振り返ってみます。

価格設定を考える上で、
あるべき価格設定と、取るべき価格設定(戦略)は、分けて考えます。

ここをごっちゃにしてしまうと、分かりにくくなります。

価格設定は、需要志向・競争志向>コスト志向

まず、価格設定には、大きく3つの要因があります。

  1. コスト志向型
    かかる原価をベースに値段を決定する方法です。
    仕入れに〇〇円かかり、人件費に〇〇円かかり、利益を10%載せたいから、〇〇円にする、といった値付けです。
  2. 需要志向型
    お客様がいくらくらいの価値を感じるかをベースに決定する方法です。
    例えばオークションにおける落札価格は、需要志向の最たる例です。
  3. 競争志向型
    競合の金額をベースに決定する方法です。
    競合A社が〇〇円で出しているから、うちはそれをくぐって、△△円で売ろう、という考え方です。

どれか一つを選ぶという話ではなく、複合的に考えていく必要があります。

1.から入る人が多いですが、
ここからいくと、行き詰まるケースが多いです。

「自分はこれを提供したい。
そのためには、仕入れに〇〇円かかるし、
事業の安定のために〇〇円の利益は欲しいから□□円だ。」

なぜ行き詰まるかというと、そこにお客様がいないからです。
そして、コストから考えると、コストを削ることに目が行きづらくなります。

値付けを考える時に、自分が印象に残っているのは、
昔のボスがとある寿司屋に対して言っていた言葉でした。

「あそこのお店は、価値と価格のバランスが良くなってきた」

職人は多くの場合、本当にこだわった本当にいいものを提供したがります。
でも、そうすると大概の場合、オーバープライスとなります。

「いや、そこまでのもの求めていないんだよね」と。
「さすがにそれは高いなー。いいものなのかもしれないけど」と。

顧客からすると、
8割の質のものを、6割の値段で手に入れたいというケースが良くあります。

この「このサービスなら、この程度の額なら払ってもいいな」と言うのが、
値付けをする上で、とても重要です。

2.需要志向型の考え方です。

ただ、最初に値付けする時は、
いくらを顧客が妥当だと感じるかはわかりません。

アンケート等をとるのも一つですが、なかなか妥当な金額を掴むのは難しでしょう。

そこで、一つの目安となるのが、3.競争志向型の考え方です。

「同じようなサービスはいくらで売れているか/売れていないか」がわかります。
同じものを少しでも安く売れば、顧客は満足するはずです。
同じ額で少しでもいいものを提供すれば、顧客は満足するはずです。

一つの基準がわかります。

そこをベースに、「これをやればきっと、+〇〇円くらい取れるだろう」とか、
「この部分を削れば、〇〇引いたほうがいいな。でも、コストはもっと削れる」とか、
調整していくことができます。

競合は全く同じものじゃなくてもいいんです。

例えば、僕たちがフードツアーを考える上では、
日本にフードツアーがあまりなかったので、下記をベースに考えました。
・日本におけるガイドツアーの価格
・海外(特にニューヨーク、ロンドン、パリ)におけるフードツアーの価格
・ランチ・ディナーで使う価格 などなど。

最終的には、大体の価格帯を決めてから、
使えるコストを逆算して、微調整していきました。

「コストをかけずに、付加価値を増やすにはどうしたらいいか」
そこが頭の使いどころでした。

まずは競合の価格調査が値付けの上でわかりやすい入り口だと思います。

価格戦略は、短期ではなく中長期目線で考える

需要志向・競争志向で値付けをしたとしても、
最初からその値段でサービスを提供するのは困難です。

理由は、信頼がないからです。
そして露出も少ない。

自分が消費者の立場を考えてみれば、わかりやすいと思います。

同じものが同じ金額だったら、安心できる歴史あるものを選びますよね。
多少安くても、旅行中にリスクはあまり犯したくないと思います。

インターネットで情報が豊富な状況だからこそ、
その状況をうまく活かして、戦略を考えていく必要があります。

個人事業的に、スモールスタートする場合に、
最初から運転資金を産み出していきたい気持ちはよくわかります。
赤字が続く状況が怖い気持ちもよくわかります。

でも、中長期の目線を持ちましょう。

インターネット等においては、比較がされやすいので、
わかりやすい差別化をすれば目に止まります。

わかりやすい差別化の一つは、価格です。

最初安くして、信頼がたまっていったら値段を上げていく。
これは、僕たちが最初に取った方法です。

プラットフォームで半額で販売し、とにかく参加してもらい、
口コミを期待しつつ、サービスをブラッシュアップしていく。

airbnbをやっている人も、同じような話をしていましたが、
インターネットに親和性の高い戦い方です。

プラットフォーム等活用すれば、価格で並び替える人も多いので、
それだけで露出増えますからね。

 

これは、一つの戦略ですが、
大事なのは、中長期の目線を持って考えることです。

 

自分たちも、値付けは試行錯誤の最中ですが、
こんなこと思いながら、価格設定をしてます、というご参考まで。