今月も1月に引き続いて、在日外国人と一緒に東北を旅してきます。
思えば、一昨年に起業して以来、幾つかのプロジェクトで、外国人に対するWEBアンケートやグループインタビュー、モニターツアー等のお手伝いをしてきました。
大抵の場合、やることは決まって話が来るので、その中で出来る限り頑張ります。
自分たち自身、自分たちのツアーでモニターツアーやりますが、そもそもやる前にもっと考えた方がいいと思うんです。
「消費者目線」という落とし穴
「一度調査してみます。」「消費者目線のために、外国人の活用を」という言葉は、
それっぽく聞こえてしまうために、マジックワードだなって思うのです。
留学生と話をすると、
「〇〇の調査に協力した」「前も〇〇にモニターツアーに行った」って話を聞くし、
自治体と話をしても、
地方も、県も、市町村もアンケートやモニターツアーをやっていたりします。
大義名分は「消費者目線で」「現地の人の目で」改善していくこと。
予算を取りやすいのか、とても流行しているように感じます。
アンケートとかインタビューとかモニターツアーとか、
それなりに数百万単位で、お金がかかるんです。
自分たちの利益というより、コストとして、それくらいかかるんです。
そのくせ、報告まではされても、行動につながっていることが実に少ない。
しかも共有も上手くされてないから、似たような調査があちこちでされています。
もうホントもったいない。
仕事もらってる身ながら、もっと有益に使えるし、
そうすりゃもっと取り分も増やせるのにって思ってしまうのです。
「目的」を明確に、「アクションプラン」まで落とし込むこと
何でそうなっちゃうかというと、
「調査をすること」が目的化してしまっていることにあります。
「目的は?」と聞いて、
「外国人のニーズをつかむこと」と言われると、
それっぽく聞こえるけど、
結局のところ、何も言ってないのと一緒です。
調査は、あくまで仮説・検証のサイクルの中にあるものです。
「外国人のニーズをつかむ」だけでは、何もできません。
仮説を立てるフェーズであれば、
ざっと全体像をとらえながら掘りどころを探るべきですし、
仮説を検証するフェーズでは、
具体的に「〇〇に対して、こうすればうまくいく」という仮説を投げかけ検証します。
前者であれば、自分で調査しなくても、インターネットで検索して
観光庁・JNTOのデータからも多くの情報を得ることができるはずです。
このそもそもの「目的」を明確にできていないから、
結果としてアクションプランに落ちていかない、
それでいて前に進まないからまた調査をする、
そんな悪循環がうまれています。
調査の前に「目的」を明確にすること。
それによって、
ネット調査でいいのか、アンケートを大々的に取る必要があるのか、
少人数にまずはグループインタビューなのか、モニターツアーなのか、
効率的な調査の方法が決まってきます。
そして、アクションプランまで落ちていきます。
いや、アクションプランまではしっかり意識して落としましょう。
自治体の場合、単年度会計の弱みで、
持続性が弱く、うまく落ちていかないという側面もあるように感じます。
これももったいない。
「外国人の強み」「日本人の強み」を理解すること
目的を明確にした調査が設計できたら、
あとはどこに誰をアサインするかということです。
「消費者目線の落とし穴」と書きましたが、
目的が明確になった調査において、
当然、消費者である外国人目線が強い武器になってくるケースは多々あります。
ただ、大事なのは、いつだって万能じゃないということです。
ある時、
「外国人目線で東京の面白い場所を発見してもらったら面白いのでは」と思い、
幾つか記事を書いてもらいました。
その結果感じたのは、
深く面白いことを見つけられるのは、長く住んでいる人だということでした。
面白いコンテンツを創るということでは、きっと日本人が秀でています。
外国人で言えば、滞在が長くほぼ日本人な人がいいでしょう。
「面白さ」が国によって違うのでは?という話もあると思いますが、
海外を長く旅してきて、そして、日本でも観光の仕事を2年ほどして思うことは、
面白いものは、誰にだって大抵面白い、ということです。
一方で、現地で何が流行っているかとか、現地では何を見て旅するかとか、
情報収集やプロモーションの観点では、外国人の方が圧倒的に知ってます。
多くはコミュニケーション・文化の点で、
ちゃんと伝わるか・違和感がないかといった確認をするには外国人が不可欠です。
究極を言ってしまえば、外国人か日本人かより、
その人個人が、面白いか面白くないか、センスいいか悪いか、が
結構大事になってきますが、それは一旦置いておきます。
「消費者目線で」「留学生を活用して」とマジックワードを叫ぶ前に、
「目的」を明確にして、「外国人の強み」を踏まえた調査を設計すれば、
もっと効率的に、プロジェクトを組めるのに、と感じます。
まずは、プロジェクトの設計段階から関われるように、
一つ一つの成果を出しながら、
一緒にやりたい!って思える仲間を社内外に見つけていきたいと思います。