2週間ほど前ですが、、日本政府観光局(JNTO)より、
2015年12月および2015年の訪日外客数の推計値が発表になりました。(報道発表資料)
2000万人まであと少しとなったインバウンド市場
12月単月で見ると、43%増の177万人が日本を訪れ、
2015年年間で見ると、47%増の1973万人が日本を訪れたとのことでした。
このままの流れで行くと、2016年には2000万人を確実に突破しそうな勢いです。
報道発表資料を見ると「訪日外客数と出国日本人数が逆転」を大々的に扱ってますが、
70億人をターゲットとした訪日外客数と、1億2千万人がターゲットとなる出国日本人数なら、
比較すること自体がどうなんだろうと思いますし、
今後ますます訪日外客数は増えていくものと思います。
でも、そんな楽観的なインバウンドマーケットにおいて、
あえて逆の見方をしてみたいと思います。
2015年急成長した中国が若干頭打ち
国ごとの訪日外客数を見てみると、
2015年12月は韓国からの訪日客数が40万人を超えて1位でした。
一方、中国は2014年同様、7-8月をピークに減少しました。
7-10月は若干バブル気味ですが、12月の訪日客数は、2月の訪日客数とほぼ同じ。
2015年の全体を一気に押し上げけん引した中国も伸びに頭打ちが見られます。
韓国や、中には順調に伸びている国もあるものの、
大きな割合を占める台湾もそこまで伸びているわけでありません。
今年40%超で伸びたから、
来年も40%超とまでいかなくても2500万人くらいいっちゃうのかな、
というとそこまで甘くもなさそうです。
ビザの緩和・円安に支えられた急成長
そもそも中国が2015年1月から2月に増えて急増した理由は、ビザの緩和があげられます。
2015年1月19日に中国向けのビザを緩和したことの影響と思われます。
それ以外にも、2013年から2015年にかけ、
東南アジアを中心に多くの国のビザを緩和してきたことがわかります。
これが、中国・東南アジアを中心に大きく訪日外客数を緩和してきた一つの要因です。
そしてもう一つが円安です。
アベノミクスが始まって、すごい円安進んだなーという印象はありますが、
年次を追ってみると2012年から2013年にかけて20円安くなり、
2015年始まる前に再び20円上がっていることがわかります。
単純に2割安くなるということは、2割近く安く旅行できるということで、
逆の立場を考えると、これも訪日外客数を押し上げている一因となっています。
特に、欧米各国を中心にその恩恵があったのではと思っています。
2016年に入りインドのビザ緩和はしたものの、ビザの緩和には限度もあります。
また、為替は若干円高に振れたりと不安定な様相。
楽観的にこのまま一気に3000万人だ!とも言っていられない状況です。
現在の訪日客が満足し、リピートにつながるかが鍵
このような状況の中、訪日外客数3,000万人を目指していくために大事なことは、
一重に、今来ている人が満足して、「また来たい!」と思ってもらうことです。
急増中の現時点では、まだ「初めて日本」の人も結構多く来ています。
ただ、徐々に初めての人は減っていきます。
今このタイミングで初めてきた人に満足してもらえないと、
一時のブームで終わってしまうという危機感もあるわけです。
今後、ビザ緩和が落ち着き、オリンピックも過ぎ、たとえ円高になっても
3,000万人以上の外国人の方々に日本に来てもらうためには、
「日本にまた来たい!」と思ってもらえる観光資源開発が不可欠です。
2015年、訪日外国人が増加したことに浮かれることなく、
地に足つけて、どういうことを求められているか、日本の魅力をどう伝えていくか、考えて行きたいと思います。
まずは、面白いコンテンツを量産できるよう頑張ります。