コミュニケーション能力の実践的な磨き方

ガイドとしてゲストと接していると、コミュニケーション能力の必要性をひしひしと感じます。

コミュニケーション能力は、才能か、スキルか。
先天的か、後天的か。

結論から言えば、磨けば磨ける後天的なものだと考えています。

ではどうすればいいでしょう。

個人的には、「本当のコミュニケーション能力」の磨き方に書かれていたのが大事なことだと考えています。

「もっとも重要なことは「この人は何を求めているのだろう?」「彼は何を知りたいのか?」「彼女は何を聞きたいのか?」と、相手に対し自分が持つ好奇心のエネルギーを高めることです。」

相手への「愛」がコミュニケーション能力を磨く上では、大事です。

ただ、これを読んで、なるほど、と思えて、行動に移せる人は、
だいぶコミュニケーション能力の高い人なのではないかと思います。

自分のコミュニケーションに自信が持てず、その一歩が踏み出せない人に、
もう少し具体的にできることを考えてみました。

コミュニケーションというと、伝え方に目が行きがちですが、実際は双方向なものです。
そして、伝える上でも、相手の興味関心・認識を押さえておくことが大事になります。

上記リンク内記事で、聴く6割、伝える4割と出てきましたが、
ここでは、聴く力と伝える力に分けて、考えます。

 

聴く力を高める

「好奇心を高めなさい」で通じる人には全く問題がありません。
でも、苦手な人は、ぜひ出来ることをやってみましょう。

「聴くのが大事だ」と言われても、
単に「聞こう」と待っていると、そこには気まずい沈黙が流れることもしばしばです。

自分から働きかけられることは何かというと、
「質問する」ということです。

質問の引き出しを持つ

「好きであれば、質問なんていくらでも自然に思い浮かぶじゃん」
これが、コミュニケーション能力の高い人の考え方です。

でも、何を聞いていいか分からなければ、
まずは、質問の引き出しを用意しておきましょう。

このご時世、ネットで調べれば、すぐ雑談のネタは見つかります。

例えば、「銀座のホステスが最初に学ぶ、話題づくりの「11文字」とは?」に掲載されている
「木戸に立ち掛けし衣食住」はいい一例です。

…気候
…道楽(趣味、テレビ、映画、スポーツ)
…ニュース
…旅
…知人
…家族
…健康
…仕事
…ファッション
…グルメ
…住まい、暮らし、家

実際に、「どこの国から来てるの?」(住)と話を振り、
答えが返ってきたら、「そこって日本より、寒いの?暑いの?」(気候)と返し、
「シアトルといえばマリナーズで日本人選手活躍してるよね」(スポーツ)などと、
会話を続けていくことがあります。

ある程度の引き出しを持っていると、間ができた時も落ち着いて会話を続けることができます。

 

また、「伝える力」を発揮する上でも、「聴く力」はとても重要な意味を持ってきます。
「伝える力」とは、
「興味のあり・なし」「認識のあり・なし」でマトリックスを作った際、
「興味あり×認識なし」の割合をいかに高めていくことができるか、ともいうことができます。

何を知っていて、何に興味があるか、
これを探るためには、「聴く力」は欠かせません。

 

 

質問の引き出し、という点では、
例えば、お寺について説明する際に、いきなり話し出しては、相手の知っている話かもしれません。
「お寺と神社の違いって知ってる?」など質問を投げかけることで、相手の認識や興味関心を探れます。

直接聞かなくても、
「日本何回目ですか?」「日本でどこに行きましたか?」「京都にはもう行ったんですか?」と聞くことで、
相手がどの程度の知識があって、何に関心があるのかを知ることができます。

 

話題作りの11文字も参考にしながら、
具体的にどんな質問が考えられるか書き出して、
引き出しとして持っておきましょう。

 

展開力を持つ

さて、質問の引き出しを持ったとして、
1問1答で終わってしまっては、気まずい沈黙の時間が流れてしまいます。

「日本にいつ来たの?」
「先週の火曜日」
「あぁそうなんだ・・・」
「・・・」

これでは、場が盛り上がりません。

引き出しを用意したら、相手がどう答えるかを想像して、
更に、それにどうかぶせていくか、そこまでシミュレーションしてみましょう。

コミュニケーション能力を高めるためには想像力・創造力が大事です。

慣れてくれば自然と展開でいますが、
最初は先のやり取りも想定した質問の引き出しを持っておくとよいかと思います。

その際に「相手の答えやすさ」にも配慮してあげるとベターです。

「いつ日本に来たの?」「日本は何回目?」「昨日夜何食べたの?」
このような質問は、答えが一つですし、記憶が新しいため、答えやすい質問です。

「国際情勢についてどう思う?」「なんで昨日鮨を食べたの?」
このような質問は、考えさせるため、相手としても答えに詰まってしまうことがあります。

「日本にいつ来たの?」
「先週の火曜日」
「へー!今回の旅行は東京だけ?」
「いや、京都と大阪にも行ってきたんだよね」
「あ、そうなんだ!京都でどこ行ったの?」
「京都では、伏見稲荷とゴールデンテンプルに行ったよ!」
「どこが一番好きだった?」
「難しいなー、とてもきれいな街だったよ」
「ちなみに京都では何食べた?」
・・・

こうなってくると、だいぶキャッチボールが盛り上がってきます。

 

聴く姿勢を磨き、相手のサインを見逃さない

聴く力は、質問の引き出しだけではありません。
「聴」の漢字のとおり、耳+目・心で探っていくことになります。

よく「傾聴」という言葉が用いられますが、
アメリカの心理学者ロジャーズは傾聴を「積極的傾聴」と呼び、3要素が大事だと提唱しました。

ロジャーズの3原則

  1. 共感的理解 (empathic understanding)
    相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする。
  2. 無条件の肯定的関心 (unconditional positive regard)
    善悪や好き嫌いの評価せず、なぜそのように考えるようになったのか、その背景に肯定的な関心を持って聴く。
  3. 自己一致 (congruence)
    話を聴いて分からないことをそのままにせず聴き直す等、常に真摯な態度で真意を把握する。

 

相手が心を開いてくれるよう、好意をもって接するとともに、
相手が言葉だけでなく態度で発しているメッセージも目や心で探っていく必要があります。

例えば、
「猫を見かけた時に、とても嬉しそうな・幸せそうな表情をしていた」とか、
「美味しいものを食べた時によくうなずいていた」とか、
「ポップカルチャーを際にすごいシャッターをたくさん切っていた」とか、
ゲストが発しているサインを聴くチャンスは山ほどあります。

よく目印になる棒を掲げ、ゲストに目もくれず歩いているガイドさんも見かけますが、
ぜひ、ゲストが何を見て歩いているのか、何を感じていそうか、
よく観察してゲストが求めていることを聴きましょう。

 

伝える力を高める

聴く6割。伝える4割。

聴く力が身につけば、後はもう一歩です。

頻出内容は相手の興味を引く伝え方を考え台本を用意する

コミュニケーション能力に自信がない人の多くは、
聴く力もさることながら、伝えるのに苦手意識を持っている方が多くいます。

苦手を克服するためにどうすればいいか。

準備をして十分に備えるのが一番です。

ガイドの方と接していて、「3S」が大事だという話を良くします

伝える力で抑える3S 

Smile:「ははは!」笑いを取る
Surprise:「まじ!?」驚かせる
make Sense:「なるほど!」納得させる

「興味あり×認識なし」の話をすると、大体ゲストの反応は3Sに落ち着きます。

相手のリアクションをイメージしながら、
是非、自分が話したい内容を3Sでまとめてみてください。

例えば、ホント良く聞かれるのが「なんで日本人はこんなにマスクしているの?」という質問

「理由は3つあるんだけどね。
風邪ひいてたり、予防したかったりするっていうのが一つ。
最近だと花粉症のためにしている人も多いんだよね。これが2つめ。
3つ目はね、朝時間がなくて化粧してないと代わりにマスクしてる人もいるんだって!」

「ちなみに、日本では人口1億2千万人だけど、マスクは年間50億枚生産されてるんだよね。」

こんな感じで用意しておけば、
いざ聞かれた時も落ち着いて対応することができます。

 

相手の質問にまっすぐ答える

それと同時に大事なのが、相手の質問に真っすぐ答えること。

「当たり前じゃないか」と思うかもしれませんが、
これができていない人が実に多くいます。

 

「今日どこで終了するの?」 と聞かれ、

「どこで終了したい?」 と返したとします。

 

普通のやり取りですが、
「どこで終了するの?」という質問に対しての答えは、
「あなたの希望の場所で終了するよ」というのが真っすぐな答えで、
そのうえで「どこで終了したい?」という質問につながります。

つい違う話にそれていったときに、
元の質問が何だったかを忘れてしまうケースも。

相手が何を聴きたいと思っているかは、常に頭に停めて置き、
それに対して、まっすぐ答えましょう。

 

表現力を磨く

もう一つ伝える力で大事なのは表現力を磨くことです。

メラビアンというアメリカの心理学者が提唱した概念に「7・38・55ルール」と呼ばれるものがあります。

メラビアンの法則
話し手が聞き手に与える影響は「言語情報」「聴覚情報」「視覚情報」の3つから構成され、
言語情報によるものは7%しかない

  • 言語情報(Verbal)…7%
  • 聴覚情報(Vocal)…38%
  • 視覚情報(Visual)…55%

つまりは立派な台本を用意して、ただ読むだけでは7%しか伝わらないということです。

「え、怒ってる?」
「いや、ぜんぜん怒ってないよ」
「いや、ぜったい怒ってるでしょ、何怒ってんの?」

こんなやり取り経験ありますよね。

言葉で「怒ってない」と言ったとしても、
声のトーンや表情で怒っている様子は伝わってくるものです。

逆を言えば、3Sを伝える際には、
言葉だけじゃなくて、トーンや表情も使って伝えていく必要があります。

Smileを伝えるのであれば、
声のトーンも少し上げつつ笑顔・どや顔で伝える方が効果的でしょう。

日本人は欧米の人に比べると、声の抑揚もリアクションも全般的に控えめです。

伝える力を磨いていくためには、ちょっとやりすぎかな、くらい、
役者のような声の抑揚やメリハリ、
お笑い芸人のようなリアクションの大きさを意識してみると表現力は磨かれていきます。

 

聴く力・伝える力を磨くために大事なこと

聴く力・伝える力の磨き方を整理してみました。
でも、実際に磨いていく上でもっと大事なことがあります。

 

愚直に行う

それは、「行動に移す」ということです。

「わかる」と「できる」は違います。

できる人は、愚直に取り組みます。
最初は、できないんです。
でも、やっているうちにできるようになる。

最初は、すぐにはできません。
多くの人はそこで、やっぱできないやと思って立ち止まってしまう。
でも、そこでやり続けられるかが、振り返ると大きな違いになってきます。

 

とにかく場数をこなす

愚直に行っていく上で、大事なのは、実践の場を積むこと。
引き出しをノートで書きだして、いくらたくさん書きだしても、限界があります。

実践することは大事です。

実践する場がなかなかない、なんてことはありません。

意識すれば、実践の場は、そこら中に転がってます。

「コンビニの店員さん、郵便局の窓口の人に話しかけてみる」とか、
「電車の中で、必ず席を誰かに譲る」とか、日々練習の場の宝庫です。

 

こうした積み重ねが、自信につながり、
自信が持てると、表現力も高まり、場数も増え、
より高いコミュニケーション能力につながっていきます。

まずは一つ、行動を変えてみてはいかがでしょうか。




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