香川】直島ガイドのポイント

1992年に現代アート施設が築かれて以降、少しずつ認知度を高め、
2010年の瀬戸内国際芸術祭を起爆剤に人気スポットとなった直島。

「現代アートの聖地」と呼ばれるようになったことなどから、アートや建築関連がフォーカスされます。
ただ、アートや建築に”その場所”の特性を踏まえることをコンセプトにしたものが多く、その方面の知識のみだと苦しむ場所でもあります。

実際、安藤建築や現代アートを語れる人はいても、
直島という場所についてきちんと語ることができるガイドさんは極めて少ないです。

率直に言って、日帰りでのガイディングをあまりオススメ出来ない場所でもありますが、
以下は、現代アートの知識有無に関わらず直島を案内するのに必要なポイントをまとめました。

ゲストが興味を持つポイント

  • ここでしか見ることのできない、ここに来ないと体感できないアートの数々(サイトスペシフィックアート)
  • 安藤建築の粋である地中美術館の存在
  • 船でしかアクセスできない、陸地から切り離された環境でのリゾート的解放感
  • 数ある瀬戸内海の離島の中でも屈指の景観美
  • 過疎の集落、現代社会の負の遺産としての瀬戸内海離島が持つテーマ性

事前に抑えておくべき注意点

  • 各施設の営業情報 (美術館施設が大半のため月曜日はほぼ休館。要注意は閑散期の冬場で、営業時間の短縮や不定休あり)
    主要施設の開館情報はこちら。(http://benesse-artsite.jp/calendar/)
  • フェリーやバスの時間に合わせたスケジューリング
    • 宿泊するのか日帰りで帰るのか等によって行動は全く変わる
      • ロケーション的な問題もあり、基本的には滞在型の観光が推奨
      • 日帰りでの観光になる場合でも、出来る限りゆっくり楽しんでもらえる内容にすること
      • 急いで短時間に多くの場所を回るような行程では満足度を得ることは極めて困難な場所
    • ハイシーズンには地中美術館や家プロジェクト、あるいはランチ場所の待ち時間に行程を左右されがちな点に注意する
      (直島のハイシーズンは月曜日を除く4月~11月、超ハイシーズンは日本人が激増するGWやお盆)
    • インフラが極端に脆弱な離島であることを踏まえておく
  • 位置づけとしてはリゾート地に近く、ゆったりと過ごすことをコンセプトに作られており、どこでツアーガイドとしての価値を出すかを整理しておく
    • 日帰りであれば、弾丸で回ることになるので、交通の段取りと、見るべきポイントのキュレーション
    • 滞在であれば、交通の段取りやキュレーションに加え、より面白みを持たせるストーリー

ガイドが発揮できる価値

  • 地域の人とのコミュニケーション
  • 高度経済成長の先に迎えた瀬戸内地域の負のストーリーと、アートワークとの関連性
  • 公共交通機関のスムーズな利用サポート
  • 効率的で柔軟なスケジューリング
  • ド田舎ならでは、離島ならではのローカルストーリーの提供

エリア情報

  • 人口3,000程度の小さな離島。本土との交通手段は基本的に船便のみ
  • 農業や漁業を主とする島々が周りに点在する中で、直島には大企業(三菱マテリアル)の事業所があり、経済的にも豊かで、若年層人口も比較的多い
    • 船便の数の多さも、観光地であるためではなく、三菱マテリアルがあるため
    • ただ、かつては交通の要所でありながら、高度経済成長の果てに過疎高齢化の進行に歯止めが利かなくなった瀬戸内地域共通の社会問題は潜在。
  • 工業による環境破壊の影響により、かつては島中がほぼ禿山状態だったなか、植林等がされ現在の姿があり、のちに”現代アートの聖地”化した
    • 「何故この島が”現代アートの聖地”にセレクトされたのか」といったことをストーリー立てて伝えられるとベター
    • 高度経済成長に対する負の遺産としての瀬戸内のテーマ性を前提として、
      あるいは産業廃棄物に悩まされ続けてきた豊島等をはじめとした周辺島々のストーリーも抑えつつ、
      様々なことに思いを巡らすための場としての見せ方・ガイディングの仕方をするのも一つ

 動植物や名産

  • 町花は山躑躅(やまつづじ)。ピークシーズンは4月半ば。
  • 動物はやたら多い猫のほか、狸、亀、ごくまれに蛇など。
    • 近年では、本土から泳いで渡って来た猪が住みついて島民の悩みの種になることも。
  • 名産は塩とハマチと海苔。ただ、本土へ流通する割合が高く、島内でハマチを提供してくれる飲食店は極めて少ない。

島内での交通手段

  • 基本バスか自転車
    • レンタサイクルショップは多々あるし、バス本数も多め
    • タクシーは町内に一台のみ(直島タクシー)で、呼んだらすぐ駆けつけてもらえるという期待は出来ない
  • 島内での移動についての情報はこちら参照。(http://www.naoshima.net/access/access_from/)
    *ベネッセハウス宿泊者専用バスについてはBASNウェブのQ&Aページを参照(http://benesse-artsite.jp/faq/hotel.html)

[宮浦(みやのうら)エリア]

  • 宮浦港があるため、直島の玄関口的な位置づけ。ここでいきなり草間彌生の赤いカボチャを確認できる。
  • 本村と比較すると、漁師エリア。昔からの家屋は基本的に海側を向いている。
  • 住民が転居したり亡くなられたりして家主不在となった家屋も少なくない。
    近年では改装されてカフェやゲストハウスになったり、ベネッセハウススタッフの住居となったりしている。

宮浦;主要施設紹介

  • 海の駅なおしま
    • 島内唯一のコンビニ(セブンイレブン)も港から徒歩5分の位置にあり。
      ここと三菱マテリアル方面に向かう丘を登った先の生協以外では、島内で物資が手に入る場所はほぼ無いと思った方がいい。
    • 海の駅には観光協会の窓口やお土産店あり。ここでマップも入手可。外にはコインロッカーもある。
    • 町のバス(本村方面を経由してつつじ荘終点)は港から乗車可。アイスクリームなど飲食していると乗車拒否される可能性あり。
      すぐ近くに、ベネッセハウス宿泊者専用のバスも止まるため、間違わないように。
    • フェリー乗り場と高速船乗り場が異なること、時間が被る際には宇野行きと高松行きの乗り場がずれることなども注意。
    • 朝の便は特に、三菱マテリアル方面行きの大型トラックが多数乗降するため要注意。
    • 歩行者用のフェリー乗降口は狭いため、降りるのが遅れて乗船とタイミングが重なると多くの人の迷惑になる。港に着いたらすぐ降りるように。
  • 銭湯 [I ♡ 湯]
    • 2009年に、島民の憩いの場となるよう新築された銭湯。入浴できる美術施設のような感覚。
    • 家プロジェクト[はいしゃ]同様、手掛けたのは大竹伸朗。[はいしゃ]同様、記憶をテーマの一つにしたスクラップブック手法。
    • 銭湯の運営自体は観光協会と宮浦地区の自治会。
    • タオルは自前で用意するか、販売されているものを購入するか。
    • スーパー銭湯でも温泉でもないため、サウナ等はなし。

[ 本村(ほんむら)エリア ]

  • 江戸時代の統治者だった高原氏のお膝元であり、現在でも中心地。役場や島内唯一の銀行などもあり。
  • 本村にも港はあるが、宇野との間の高速船のみ。便数も宮浦と比較すると大幅に少ない。
  • 家プロジェクトを廻りつつ、焼き板の家並みが並び立つ迷路のような狭い通りを歩き回るのが楽しみ方。
  • ランチ用にオススメな飲食店もこのエリアに多め。ただし外部から来た人達が営業する個人経営店ばかりなので冬季休業に注意。
    (外部から移住してきた人達は、店舗の採算が望めない閑散期には別の場所で別の仕事をして生計を立てることが多いため)
    *本村でランチを摂るなら、最もおすすめしたいのは[あいすなお]。(http://aisunao.jp/restraunt-aisunao.html)
  • 普通の民家でも暖簾を掛けた家屋が多いのは、地域で取り組んでいる[のれんプロジェクト]のため。
    *同様のプロジェクトは、岡山県真庭市勝山の町並みにもあり。(https://colocal.jp/topics/think-japan/local-design/20120314_4898.html)
  • 家プロジェクトは、内部での写真撮影は全館禁止。外から建物外観を撮影することのみOK。
    (WebやSNSなどで内部の写真upしているものの大半は無断撮影されたもの)

本村;主要施設紹介

  • 本村LA (ラウンジ&アーカイブス)
    *バスが停車する農協の、すぐ裏手の建物。家プロジェクトチケットやお土産を購入可。
  • 家プロジェクト
    1998年に[角屋]を皮切りにスタートした、古民家等を現代アート施設としてリノベーションするプロジェクト。
    観光エリア(BHM、つつじ荘など)と地元民の住居エリアが区分されて始まった一連のアートプロジェクトに対し、
    島の中心である本村エリアへと浸透していくことで地域住民を巻き込んだ形になったのが特色。
    直島の代名詞的なコンテンツで、知名度が大きく向上していったのもこの家プロジェクトから。
    廻り方は、効率よりも「きんざを予約しているかどうか」「南寺の混み具合がどうか」「何時のバスに乗るか」「どこでランチを摂るか」の4点を重視した上で逆算していきたい。
    繁忙期には、何よりもまず南寺の整理券を取りに行くことを最優先すべき。
    ガイドブック等には「所要時間60分」などと書いてあることが多いが、空いている時期でも60分はほぼ不可能([南寺]と[護王神社]だけでも最低30分は計算しておくべき)
    時間が無い等の理由で全てを見ることができないのであれば、優先順位は基本的に[南寺]>[護王神社]>[角屋]。

    • [角屋]
      200年近く前の家屋をリノベートしたもの。家プロジェクトの第一号、1998念にOPEN。
      宮島達男のインスタレーション三作品が展開。最重要は「Sea of Time ’98」。
      島民も制作に携わったこの作品がきっかけになって直島のアートプロジェクトが受け入れられ始めた経緯あり。
      (それまでは、地元の人からは白い目で見られていた)
      数字を刻むLEDデジタルカウンターの速度は、島民が思い思いに設定したもの。
    • [南寺]
      繁忙期に最も混み合うスポット。家プロジェクトの第二号、1999年にOPEN。安藤忠雄とジェームズ・タレルのコラボ作品。
      元々この場所には住民の信仰の対象だった寺社があり、明治期には既に失われていた。家プロジェクト[南寺]は、住民の間に継承されてきたその記憶を具現化させることがひとつのテーマとしてスタート。
      [南寺]の「Backside of the Moon」は、光をテーマにしたタレルのアートワークの中で、最も微弱な光を使用したもの。本当の暗闇と、光を体感するインスタレーション。
      開館時間の間、15分ごとで区切って規定人数内で入館できる形。GWや芸術祭期間などは整理券対応になることが多い。整理券などの取得は、代表者だけで向かっても受付不可。全員で向かう必要アリ。
    • [きんざ]
      元々は築百年以上の小さな家屋。2001年にOPEN。名前の由来は初代家主の金座衛門という人の名前から。
      一連の家プロジェクト作品の中で唯一、事前予約が必須となる施設。予約についてはこちらから。(http://benesse-artsite.jp/hotel/20160729-621.html)
      入館は、一人ずつでのみ可能。二人以上での同時入館は不可(一枠は15分)。そのため、同伴者やガイドと一緒に入館は不可。お一人でアート鑑賞を十分に楽しめる方でない限り、お連れすること自体非推奨。
      鑑賞する作品は、豊島美術館を手掛けたのと同じ内藤礼による「このことを」。作品と、あるいはこの場所と向き合うことそのものが重要なアートワーク。
      現代アート全般に言えることだが、この作品については特に、事前に余計なことは言わないこと。作品の意味や意義より、何をゲストが感じるかが重要なため。
      複数人数で予約している際は、隣の[碁会所]やすぐ近くの本村L&Aでのショッピングor休憩を絡めて、時間を無駄にしないように。
    • [護王神社]
      江戸時代初期に統治者高原氏によって整備、明治期の火災の被害を受けて建て替えられたのを最後に100年以上改修されず老朽化した神社。住民間で改修費用捻出が困難であったため、紆余曲折の末にベネッセが改修。本村の住民との話し合いの末に家プロジェクトの一つに。
      設計はコアファンが多いことでも知られる杉本博司。[護王神社]の設計にあたっては上代の神社形式を意識して手掛けられたとのこと。
      杉本博司作品は島内に複数あり、直島をガイディングするにおいてマストで抑えておくアーティストの一人。とはいえ解釈の難しい方なので、詳細をお伝えするなら自身の言葉・文脈で語れるよう、著書を読むなり他作品に触れるなり入念な予習が必須。
      本殿を見学した後、裏手に回ると狭い通路の先に地下へ入れる。また、この地下通路入口付近は海景がとても綺麗な場所。
      階段をかなり上った先の小高い山の上に位置することなどから、足元が悪い方の拝観は困難。
      護王神社を少し先に行くと、高原氏の旧城跡もある。
    • [石橋]
      製塩業を営む地元の名家だった石橋家が2001年まで住居していた邸宅を修復し、千住博が空間デザインを担当した施設。
      展示されているのは「ザ・フォールズ」「空の庭」の二点。
      元々は島内で最も大きな家の一つで、邸宅だった頃の装いを極力残すことに重点が置かれたため、もっとも古民家的な良さを体感できる場所。
      それでいて、千住博ならではのウォーターフォールシリーズの襖絵に圧巻される。
      拝観をさっと短時間で終わらせることも出来なくはないが、できればゆっくり過ごしたい場所。
    • [碁会所]
      本村の人々が集まって碁を打っていたと言われる場所。須田悦弘、2006年の作品。
      他と比べて、一見しただけで感じられるインパクトは弱いため、ボランティアガイドの案内がないといまいち魅力が伝わりにくいかもしれない施設。
      ボランティアガイドは島内の人達や香川の大学生なので、英語対応できない場合も多い。なのでガイドの付加価値は活かしやすいかもしれない。
      本物とそっくりな精巧な木彫りを作成できる須田悦弘によって、偽物の椿が畳の上に置かれており、庭にある本物の椿と対比可。
      椿にばかり目がいくが、実際には手前の竹も同様の仕掛けが施されている。
      ゲストにどちらの部屋の竹が本物かをクイズして、島民ボランティアガイドさんから答えを聞くという形で、交流を促したい。
      ロケーション的に、[きんざ]や昼食場所の用意が整うのを待つための空き時間として活用できる。
    • [はいしゃ]
      バスで港から本村へ向かう際に外観だけは車窓から見ることができる施設。ちょっと車どおりが多いところに位置しているため、注意。
      名前の通り、元々は歯医者であった建物で、受付窓口の跡やトイレ跡なども確認できる。
      廃屋的な外観の一方で、内部は大竹伸朗特有のシュールな世界観で、空間自体を使って様々な記憶を散りばめたスクラップブック的な感覚。
      すぐ近くに町役場があるが、その建築から直島町の豊かさもある程度察せられる。
  • ANDO MUSEUM
    第二回瀬戸内国際芸術祭を前にOPENした、かなり新しい施設。
    家プロジェクト同様に古民家をリノベートした施設。外観は木造の古民家だが、内部はコンクリート打ちっぱなしの安藤忠雄建築。
    規模が古民家内部なので、ミュージアムとしては小さいけど安藤建築らしさを体感するには良い場所。
    とはいえ、島内で他にも地中美術館やBHMなどといった安藤建築があることを思えば、余程好きな人以外、マストとまでは言い難い。
  • 本村港
    一日数便のみ、宇野からの小型船が寄港する港。観光客も使用できるが、基本的には本村地域の住民利用が主になる港。

[ 積浦(つむうら)・琴弾地(ごたんぢ)エリア]

  • 島の南側一帯のエリア。積浦は宮浦同様、漁師層の人々が多く在住。美術館エリアと本村の中間くらいに位置するためか、民宿がやたら多い。
  • 民宿や飲食店に立ち寄る以外では、わざわざ訪れる必要性は低め。
  • バスなどで車窓から見える田園風景や海の眺めは良く、美術館エリアへ向かう際の期待値を高めることができる。

積浦・琴弾地;主要施設紹介

  • つつじ荘
    直島町所有の民宿。海の駅なおしま、学校施設(小中幼)、町役場などと同じ石井和紘設計。
    入り口には「おやじの海」が流れるボタンがあったり、敷地内にモンゴル風のパオがあったり、民宿という以上に楽しめる施設。
    夏場にはすぐ前の砂浜が海水浴場となるため、海の家としての機能も果たす(BH敷地内に入ると海水浴禁止)。
    時期にもよるがBBQも可。
    8月下旬には火祭(花火大会)あり。至近距離で眺めることができるため、非常に迫力がある。
    町営バスの終着ポイント。ベネッセハウス非宿泊者がこの先の美術館エリアに向かう際は、ここから無料のシャトルバスへの乗り換えが要。
  • 直島釣り公園
    桟橋などから海釣りを楽しめる施設。有料。釣れる魚の種類はHP確認。(http://www.town.naoshima.lg.jp/miryoku/turikouenn/turi.html)
  • ベネッセハウスパーク(ビーチ)
    BH系施設のうち、手前(つつじ荘側)にある安藤忠雄建築のホテル棟。美術館ではないので、基本的に宿泊者以外は入館禁止。
    BHがミュージアム棟とオーバル棟の計16室だけで超予約困難が続いたために着工。完成は両棟とも2006年。客室数はパーク棟は41室、ビーチ棟は8室。
    パーク棟にはホールがあり、安藤忠雄や杉本博司などの講演会が行われる他、大型団体へのパーティー貸切なども行っている。
    パーク棟地下は、[光の棺]や[苔の観念]と呼ばれる杉本博司の空間を使ったアートワークが展開されるエリア。
    他にフレンチレストラン、スパ、ショップなどもあり。ショップのみ、非宿泊者でも利用可能。
    護王神社同様、”時間”の概念をテーマにした壮大な空間。
    パーク棟とつつじ荘の間には、草間彌生の[南瓜(黄色)]やニキ・ド・サンファルの作品群など、多様な屋外作品が設置されている。時間を作ってゆっくり歩いて回りたいエリア。
  • シーサイドギャラリー
    パーク棟前の海岸エリア同様、屋外アートワークが多く展示されている一帯。ベネッセハウスのパーク/ビーチ棟とミュージアム棟の間に位置。
    風で動くジョージリッキーの「三枚の正方形」、大竹伸朗の「シップヤードワークス」、ウォルター・デ・マリアの「見えて/見えず 知って/知れず」など。
    下まで降りると、チャーター船専用の小型桟橋あり。瀬戸内海の景観の良さを体感できる場所なので、できれば時間を作ってでも立ち寄りたい。

[美術館エリア]

  • BHMや地中美術館など、最大の目玉になる施設のあるエリア。住居エリアではないため、住宅はほとんどない。
  • 地中美術館~李禹燗美術館間や李禹燗~BHM間は瀬戸内海屈指の海景が一望できるエリアでもあるので、余裕があればどちらかだけでもゆっくり歩いてもいい。
  • 飲食できる場所は、地中美術館内のカフェと、BHM内のレストランorカフェのみ。きんとした食事を摂りたいのであればBHMのレストラン一扇を要検討。

美術館エリア;主要施設紹介

  • ベネッセハウスミュージアム (BHM)
    1992年完成の、直島でのアートプロジェクト皮切りとなった建物。
    島内の他の美術施設同様、館内は写真撮影禁止。2階のカフェ/ショップにてお土産など購入可。地下のレストラン一扇は、岡山にある老舗料亭の出張店。味は本格的な和食。
    安藤忠雄建築で、今の安藤建築では考えられないような要素と、安藤建築らしい要素がそれぞれ見受けられる。
    BH系列のミュージアム棟というホテル機能と、名前の通り美術館としての機能を兼ね備えている。というより「宿泊できる美術館」という感じ。客室数は10。
    通常の美術館と大きく異なる点は、順路などがなく自由に拝観できる点と、開館時間が非常に長いため時間の流れと共にゆっくりアートワークや景色を楽しめるという点。
    地下階であっても自然光が十分に入ってくる構造のため、時間や天候などによって作品の見え方が異なってくる。時間を変えて鑑賞・体感することで印象が全く異なるものや、むしろそれを前提とした作品も多い。
    家プロジェクトや地中美術館と違い、館内でおしゃべりをしていてもうるさく言われることの少ない場所なので、ガイドの価値は発揮しやすい。
    主要作品ついては下記概容のみ記載。ただ、解釈は百人百様な現代アートにおいて重要なのは”見た人間が何を感じるか”であるので、求められたわけでもないのに解説などをして一方的に情報を投げつけるようなガイディングは避けたい。 (また、時期によって展示替えがある場合もあり)。
    下記以外にもジェニファー・バートレット、柳幸典、リチャード・ロング、ブルース・ナウマンなどの作品はしっかり抑えておきたい。

    • 「天秘(てんぴ)」 (安田侃(かん))
      天井のみが切り取られて、外界のうち空のみが繋がっているような空間に設置されている。手のひらの形のような膨らみのある大きな大理石。
      上に座るなり寝そべるなりして上空を眺めながらゆっくり時間の流れを感じることをコンセプトにしている。
      大理石はイタリアから運ばれてきたもの。大きすぎてBHMのドアを通過できなかったため、設置はクレーンにて行われた。
    • 「無題」 (ヤニス・クネリス)
      分厚い鉛の板を手作業で丸め、木材や布・食器などを包んだものをいくつも重ねた作品。窓を塞ぐような形で展開。
      96年にクネリスが岡山から訪れた学生ボランティアとともに数か月に渡って作成したもので、直島におけるサイトスペシフィックアートの走り。
      当初は窓全体を覆うような構図だったが、年月を経るうちに重さで沈下し、上部が若干空くようになっている。
      大量生産の近代工業において頻繁に使用される鉛という素材を使用しつつ、効率化や機械化とは対称的な意識に基づいて作成された作品。
      直島が、近代工業が地域に何をもたらしたかを体現する場所であることも思い合わせつつ、向き合いたい作品。
    • 「タイム・エクスポーズド」 (杉本博司)
      BHM地下階の、夕陽が沈んでいくエリアだけを選んで壁をくり抜いたようなテラスに展示される写真作品。
      水平線の写真を撮影した杉本博司の”海景”シリーズが壁に等間隔で展示されている。
      “海景”シリーズは、一見同じものばかり。実際には世界中のあらゆる海を旅して撮られたもの。その間に、本物の海が見える。
      テラスの段差の上の方から眺めると”海景”シリーズの水平線と、瀬戸内海は重なって見える。世界の海が繋がっている様子。
      “海景”シリーズは厳密な制約の下に撮影された作品で、どの写真も陸地から撮られた水平線。
      海と空だけの水平線は言わば太古の時代から変わらなかっただろう光景という意味で、膨大な時間をテーマにしている。
      そういう気の遠くなるような時間をテーマにした”海景”シリーズの写真が、屋外の風雨や陽光に晒され、作品自体の形質変化という形で、また時間を刻んでいる。
      天候の良い日には、夕陽が素晴らしく綺麗に見える場所なので、時間があればここで夕陽を迎えたい。
    • 「雑草」(須田悦弘)
      BHMの1Fから2Fへ上がっていく階段の途中、ひっそり生えている草のようなもの。
      実際には同じく須田作品になる家プロジェクト[碁会所]同様、木彫りの彫刻。
      実物の雑草と見紛うようなフェイクの草であるため、「一見してもアートワークだと気付かれないよう」な展示のされ方。
      作品名や作家名を表すキャプションも、極めて気づきにくい位置にある。
      そのため、ゲストへの興味の振り方も、努めてさりげなく行うように。見せ方が非常に大事。
      あまりに精巧であるため、フェイクであることに気付いた人に感動を呼ぶが、その瞬間に価値観は倒立していることになる。
      美術館に本物の雑草が生えて入れば、引っこ抜かれる。フェイクの「雑草」は、アート作品として人気者になる、という構図。
  • ベネッセハウスオーバル
    1995年OPEN。ミュージアム棟よりもさらに高所に設計された、6室のみの宿泊棟。
    ミュージアム棟2階からモノレールで数分をかけて移動する形でアクセス可。ただし宿泊者のみ。
    雑誌などに掲載された影響で非宿泊者でも見学を希望されることが多いが、禁止されている。
    (Ovalの部屋の構造上、宿泊者のプライバシー侵害に繋がりかねないため)
    BH系宿泊棟の中でも最も人気の施設のため、予約がすぐに埋まることでも有名。
    なかでも特に403号室は景観の良さもあり、ここピンポイント指定するリピーターも少なくない。
  • 李禹煥(リ・ウーファン)美術館
    “もの派”と呼ばれる、石や木、鉄など素材をそのままに活かし、ほとんど手を加えることなくアート作品としての表現を行う芸術傾向の主導者の一人、韓国出身の李禹煥の作品を展示した美術館。建築はBHMや地中美術館同様、安藤忠雄。
    スタンスは、”つくること(=文明)”を極力制限し、”つくらぬもの(=自然)”を受け容れることを重視。
    制限された”つくること”と外界にある”つくらぬもの”を組み合わせて、空間性を感じさせる作品が多い。
    上記のような李禹煥の美意識のためもあって、美術館内部は李禹煥が安藤建築に自身の作品を展示しているというよりは、2人のコラボといったほうが近い。
    訪れる人の興味関心の指向性次第で満足度はかなり別れるので、よほど好きな人以外は時間がある場合の選択肢として考えたい。
  • 地中美術館
    2004年に完成され、一挙に直島のフラッグシップ的な場所になった美術館。
    美術館エリアに広がる瀬戸内屈指の景観美を壊さぬよう、文字通り地面の中に展開された美術館。上空から眺めると、幾何学模様が地面に並んでいるように見える。
    現代アーティストのウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレルの作品に加えて、クロード・モネの「睡蓮」を展示している。
    3人のアーティストに加えて、建築者の安藤忠雄もまた4人目のアーティストのような存在感。建物の大半が地下でありながら、自然光に照らされて作品を鑑賞できるという構造で、安藤建築の代表作。
    家プロジェクト[南寺]同様にGWや芸術祭期間など繁忙期は混み合うことが多く、整理券対応なども実施していたが、2018年8月からは予約制が事前導入される。
    BHM同様、館内に順路は特にないため、好きな順番で鑑賞可。また、一度鑑賞した作品を、時間を変えてもう一度見に行くのも楽しい。
    館内全域に至って写真撮影は厳禁。話し声も、場所によっては厳しく注意を受けることがあるため注意。
    ガイドとしては、解説するというよりも作品を体感するサポートをしてあげる感覚で同行すべき場所。
    以下、代表作品・アーティスト紹介。

    • 「タイム/タイムレス/ノータイム」(ウォルター・デ・マリア)
      合衆国ニューメキシコの砂漠に設置された「ライトニング・フィールド」という巨大なランドアートで有名な一方、ミニマルアート的な表現も多々手掛けてきたアーティスト。
      その両者の特徴が合わさった場として、地中美術館の一室に展開されているのが「タイム/タイムレス/ノータイム」。
      空間そのもの、室内全体が表現の場になっている。壁のすぐそばに点在する金色の柱も作品の一部で、触れることは禁止。
      室内を照らすのは降り注ぐ自然光のみであるので、その変化によって、部分的にも空間全体においても、見え方や印象が大きく異なる。
      (光の様子次第では階段から今にも転げ落ちそうな黒い球体に、顔のようなものが見えてくることもある)
      ゆっくり時間をかけて鑑賞したい作品の一つ。
    • 「オープン・スカイ」(ジェームズ・タレル)
      照明を使った光のインスタレーションで知られるジェームズ・タレルが自然光を使用した作品。
      地下でありながら、ぽっかり天井が空いて上空を見上げられる部屋で、ベンチに腰かけて自然光の温かみや空の変化を体感する。
      BHMに展示されている安田侃の「天秘」と、構想としてはかなり近い。
      時間の流れを感じながら、時間を忘れて静かに過ごす場所。
      週末限定で、日没時に「オープン・スカイ」を体感できるナイト・プログラムが完全予約制で実施されている。
      予約はこちらから。(http://www.yoyaku-chichu.jp/j/)
    • 「睡蓮」(クロード・モネ)
      言うまでもなく、印象派の巨匠モネの、晩年の連作「睡蓮」を5点展示。
      「睡蓮」自体は上野の国立西洋美術館はじめ、いろんなところで見ることが出来るが、自然光によって鑑賞できるというのが地中美術館でモネを見ることの特色。
      生前のモネは、絵画と展示空間が一体となって空間それ自体が作品となるように、という構想を抱いており、それを具象化させた場所という感じ。
      微弱な自然光が降り注ぐようになっていることも、その光が室内に行き渡るようになっていることも、大理石のピースを散りばめられた床も、全てはその構想のためのもの。
      そのモネの構想はかなり現代アート的な要素の強いものため、地中美術館のモネ「睡蓮」展示室は、いわば近代印象派の絵画作品としてだけではなく、現代アートの文脈の中でモネを捉えることが出来る場所とも言える。

旅程スケジュール案(モデルプラン)

#01:岡山発着、11時間ツアー

  • 8:00 岡山駅集合、両備バス乗車
  • 9:00 宇野港着
  • 9:20 宇野港からフェリー乗船
  • 9:45 直島(宮浦港)着、バスで本村へ
  • 10:00 家プロジェクト([きんざ]を除く)
  • 12:00 昼食@本村
  • 12:45 本村農協前から町営バス乗車
  • 13:00 つつじ荘から場内シャトル乗車
  • 13:10 地中美術館
  • 14:45 BHM
  • 16:00 徒歩移動
  • 16:10 シーサイドギャラリー
  • 16:25 徒歩移動
  • 16:35 ショップ、「南瓜(黄)」など
  • 17:00 つつじ荘から町営バス乗車
  • 17:35 宮浦港からフェリー乗船
  • 17:55 宇野港着
  • 18:00 両備バス乗車
  • 19:00 岡山駅着

#02:高松発着、10時間ツアー

  • 8:00 高松港集合、フェリー乗船
  • 9:05 直島(宮浦港)着、バスでつつじ荘へ
  • 9:20 つつじ荘着。場内シャトルに乗り換えて地中美術館へ
  • 9:40 地中美術館(開館は10:00~)
  • 11:30 場内シャトルでBHMへ
  • 11:45 BHM鑑賞
  • 12:50 昼食@一扇(BHM地下)
  • 13:40 BHM下から場内シャトルでつつじ荘へ
  • 13:55 つつじ荘から町営バスで本村農協前へ
  • 14:00 家プロジェクト
  • 16:15 本村農協前から町営バス乗車
  • 16:30 宮浦港着、海の駅なおしまで買い物・「南瓜(赤)」など
  • 17:00 宮浦港からフェリー乗船
  • 18:00 高松港で解散

※行程案は絶賛募集中です。実際ガイドした際の行程を教えてください。




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